2025年11月17日月曜日

特殊詐欺4_手口とプロセス

あかん、楽しい。


## この通話がどのようにして詐欺行為へと発展していくのか、その手口とプロセスは何か?

 ### ステップ 1:警察の権威の確立と具体的な危機(エサ)の提示

まず、警察官を名乗る人物は、自身が**「成田の水島」「京都市警察署」**からの捜査担当者であると名乗り、組織的な権威を利用して被害者(加藤さん)に即座の協力を求めます。

1.  **事件と名義の関連付け:** 「伊ズのマを初めて観光事件」(または「伊豆の箱事件」)という架空の事件と、**「令和7K(かことじ)18」**という具体的な事件番号を提示します。

2.  **被害者情報の利用:** 逮捕された容疑者の自宅から、加藤さんの名義で開設された**ペイペイ銀行**のキャッシュカードが大量に見つかったと伝えます。被害者に開設した覚えがないことを確認することで、被害者が「名義を悪用された」というストーリーを確立させます。

3.  **深刻な金銭被害の強調:** その口座内に**500万円**の犯罪入金があったこと、そして事件全体に関与している金額が**8,000万円以上**であることを伝え、事件の重大性を強調します。

### ステップ 2:法的責任の強調と心理的圧力による支配

警察官を名乗る人物は、加藤さんがただの被害者ではなく、法的責任を負う立場にあると断言することで、強い心理的圧力をかけます。

1.  **責任の転嫁:** 加藤さんは現在、名義を悪用されたカードについて**「責任を背負っている状態」**にあり、このままでは**「金銭窃盗の罪」**が成立してしまうと警告します。

2.  **潔白証明の強要:** 捜査への協力こそが、加藤さんご自身が**「潔白を証明」**するための唯一の方法であり、今後の聴取(調書)が**「明確な証拠」**として裁判所に提出されると強調し、協力を拒否すれば犯罪者になるという危機感を煽ります。

3.  **組織的な恐怖の植え付け:** 事件に**暴力団やハングレ**が関与している可能性が非常に高く、捜査内容が外部に漏れた場合、加藤さん自身が**報復を受ける恐れ**があると伝え、被害者の恐怖心を最大限に引き出します。

### ステップ 3:被害者の隔離と行動の徹底的な統制

詐欺を成功させる上で最も重要なステップの一つが、被害者を孤立させ、第三者によるチェックやアドバイスを受けさせないようにすることです。

1.  **秘密保持の強要:** この事件が**「秘密保持の対象の事件」**であるとして、警察の調査期間中、捜査内容や方針を**第3者(親族、友人、配偶者、職場の人)に絶対に知らせてはならない**と厳命します。

2.  **第三者接触の脅し:** もし秘密を漏らした場合、たとえ潔白であったとしても、**「まずは弁形あり」**という刑事事件として再び話を聞かなければならなくなると脅し、被害者の口を封じます。

3.  **環境の制限:** 聴取中に第三者の声が入った場合、「加藤さんが指示を受けていると裁判官に判断されてしまう可能性がある」として、**聴取書(調書)の法的効力が失われる**と警告し、一人きりの環境を確保させます。

### ステップ 4:技術的監視の開始と詐欺の最終段階への移行

被害者の物理的な隔離が達成された後、警察官を名乗る人物は、技術的な手段を用いて被害者の行動をさらに統制し、金銭要求のための準備を整えます。

1.  **進行検査(監視)の開始:** 携帯電話(iPhone)の**LINE**アプリを使用して、犯行グループとの接点を確認するための**「進行検査」**を行うと伝えます。これは、捜査協力という名目で、被害者の端末を詐欺師側のコントロール下に置くことを目的としています。

2.  **応答形式の指示:** 聴取の間、質問に対しては技術的な理由をつけず、肯定の言葉も「はい」以外は使わないように指示し、**被害者の自発的な発言や思考を制限します**。


この一連のプロセスは、**「公的機関からの電話であることの信憑性」「犯罪者になるかもしれないという危機感」「誰にも相談できないという隔離状態」**を完成させます。これにより、被害者は極度の不安と孤立の中で、最終的に**「潔白を証明するためには、今すぐに指定された口座に金を移す必要がある」「捜査費用を立て替える必要がある」**といった詐欺師からの金銭要求(または個人情報・口座情報を含む機密情報の要求)を、疑うことなく受け入れてしまう状況を作り出します。

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